研究内容

非在来型資源開発

未固結地層フラクチャリング挙動の解明と石油・メタンハイドレート開発への応用

メタンハイドレートは水とメタンガスからなり、メタン分子のまわりを水分子が籠状に覆う構造を持った氷状の固体結晶です。
メタンハイドレートは低温高圧環境下でしか存在できないため、北極や南極地域の永久凍土層の下や、深海底下の堆積物中に 存在しています。現在、世界のメタンハイドレート総資源量は404兆m3、日本周辺に存在する資源量は7.4兆m3 と試算されていて、1999年度の日本の天然ガス消費量750億m3 の約100年分に相当するとも言われており、資源の少ない 日本とっては注目すべきエネルギーです。

未固結地層フラクチャリング実験

メタンハイドレートの存在する場所は主に軟弱な泥質堆積層です。
またメタンハイドレートは常温常圧環境下で不安定で急速に分解します。このため生産時におけるメタンハイドレート分解によって掘削井の崩壊が懸念されており、どのようにしてメタン ハイドレートを生産するかが問題となっています。特に、ボアホール崩壊を防ぐための地殻応力評価技術および生産性向上のための水圧破砕技術の確立が不可欠です。このため本研究室では、室内実験にてメタンハイドレート層を模擬した堆積層において 水圧破砕試験を行っています。

粒状体個別要素法による未固結地層フラクチャリング挙動のシミュレーション

実験的検討以外に岩石等の破壊挙動を検討するためアプローチとして数値解析を用いる方法があります。粒状体個別要素法(Distinct element method: DEM)は実際の亀裂の発生過程に忠実なモデル化が可能であり、破壊にともなう大変形も容易に取り扱うことができます。
本研究室では、メタンハイドレート層を模擬した供試体に対する室内水圧破砕実験を対象とした新たな解析モデルを開発し、水圧破砕のシミュレーションを行なうことによって、メタンハイドレート層での水圧破砕挙動のメカニズムを詳細に検討し、実験において観察された現象に対して合理的に解釈することを目的とした研究が行われています。

天然亀裂を含む岩盤のフラクチャリング挙動の解明とシェールオイル・ガス開発への応用

シェールガス・オイルは透水性の低いシェール層に存在しており、坑井を掘っただけではオイルやガスを生産することができません。そのため、人工的に地層内の透水性を改善する必要があります。そこで用いられる技術がフラクチャリングです。実際のフィールドにおいてフラクチャリングを行った場合、複雑なフラクチャーやフラクチャーネットワークが形成されていることがわかっており、地下岩盤内に天然に存在するフラクチャーの存在もフラクチャーの形成に影響を与えていると考えられています。

フラクチャリングのメカニズムを明らかにし、フラクチャーの制御が可能となれば、シェール開発における合理的な施工、効率的な生産につながると考えられます。

フラクチャリング(水圧破砕法)

フラクチャリングは、坑井を通して地下に流体を圧入することによって地下岩盤内にフラクチャーを形成し、人工的に地層内の透水性を改善させる技術です。シェール開発においては、対象とする地層に対して水平に坑井を掘り進め(水平坑井)、一つの坑井から複数のフラクチャリングを行うのが一般的です。

天然亀裂を含む岩盤のフラクチャリングシミュレーション

天然フラクチャーがフラクチャーの形成に影響を与えるメカニズムは十分に明らかになっておらず、そのメカニズムが明らかになることによって、シェール開発においてフラクチャリングをする際、フラクチャーの制御が可能になることに寄与し、さらには合理的な施工、効率的な生産につながると考えられます。また、フラクチャーの制御が可能になれば、シェール開発における環境への影響を低減することにも可能と考えられます。

このような背景の下、本研究では、フラクチャリングを行った際、天然フラクチャーがフラクチャーの伸展挙動に影響するメカニズムを明らかにすることを目的として数値シミュレーションを行っています。